· 

プレゼント

 

 先日、私のスマートフォンに、大して親しくしていた覚えのない友人の友人から着信がありました。

 

 随分長くコールしていたのですが、私は敢えて電話には出ませんでした。
 彼女とは直接関係無いのですが、実はその共通の友人となる人物と私は、過去にあったある問題をきっかけに縁を切っており、その共通の友人となってしまう彼女とも、出来ればもう関わりたくなかったためでした。

 

 それから数日後、彼女からスマートフォンへメールがありました。

 

(受信メール原文)

『介護疲れで生きているのも疲れ大量の睡眠薬飲んだら死んで楽になりたかった。助けられてしまった。』

 

 私は彼女が、未遂に終わったものの、自分に電話した後に自殺を図った事を知り、あの時電話に出なかった事を少し後悔ました。
 しかし腑に落ちませんでした。彼女はなぜ、死のうとしている直前に、大して親しくもなかった私に電話して来たのか。正直、思い当たる節が無かったのです。

 

 私はしばらく考えて、彼女は私が遠隔ヒーリング能力の保有者である事を知っていたのを思い出しました。

 

 私は以前、彼女と共通の友人にあたるある人物から、自分が余命数年の末期癌である事を告白され(結局詐病だったのですが・・)、その人に対して、まだ試験段階であった遠隔ヒーリングを行った時期があり、共通の友人であった彼女は、その人物を通して私が霊的能力の保有者である事を知るに至ったのでした。

 

 彼女は、現在私が「平苑郭」として「自宅療養研究所」を運営している事を知りません。
 ただ、その彼女が「死」の選択をしようとしていたその時に私と対話する事を望んだのであれば、その動機は霊的能力の保有者である私に助けを求めていた。と考えるのが妥当だと判断できました。

 

 「次の自殺を思い留まらせるために説得しなければ・・」
 私は彼女へ電話するためにスマートフォンを手に取り、彼女からの着信履歴を辿ったのですが、「発信」に戸惑い、スマートフォンを充電ホルダーへ戻しました。

 

 私にその「人として当然の行動」を思い留まらせたのは、彼女と共通の友人であった、私に詐病の告白をした人物の存在でした。
 その人物が詐病の告白によって私との繋がりを維持しようとした動機は、人として決して理解できないものではありませんでした。
 しかし、私はその件を通じたその人物の一連の身勝手な行動のために、実に多くの物を失う結果となり、大変な苦労の末に現在に至っているのです。

 

 その後私は脱サラして現在の「自宅療養研究所」を起業する事となって行くのですが、実はその経緯にはその件が大いに関わっており、私は「ヒーラーになるために起業した」というより、長年続けてきた業界から引退せざるを得ない状況に追い込まれて、ヒーラー稼業へ辿り着いたというのが実情なのです。
 不名誉なカミングアウトとなってしまいましたが、それがこの「平苑郭」の誕生理由なのです・・


 現在私は、平苑郭として自宅療養研究所を起業した事を後悔していません。
 確かに私は事業者としてはまだまだで、この起業が「転職として成功だった」と言い切れる段階には、まだまだ遠く及ばないのが現状です。

 

 しかし私は、脱サラによって、28年間もの間、自分という存在を「単なる働くための機械」としていた悪循環からの脱出に成功し、「自分が一番得意とする事」で身を立てていく道への第一歩を踏み出す事に成功しました。
 そして「遠隔ヒーラー」として、日本中の人々へ向けて情報発信を始めた事によって、実に多くの人々との新たな素晴らしい出会いに恵まれ、そしてその中には、私の人生観そのものを大きく変えるきっかけとなった人物である「神月美香さん」との出会いさえも含まれているのです。

 

 「人生は、次から次へ問題ばかり起こる『難問解決プログラム』みたいなもの。」
 そう承知して何事にも歯を食いしばり、弱音だけは吐かずに生きて来たつもりではありました。
 しかし、それを負けずに乗り越えて行く事で見えて来る「輝かしく美しい景色」は確実に心の糧となっていくものであり、人にとってその過程を楽しみながら歩いて、人生を全うする事が「人の生きる目的」であると私は思って来ました。

 

 急がずとも真面目に真っすぐ歩き続けさえすれば、私たちには少しづつゆっくりと胸の中へ刻まれて行く心の財産があり、それこそが自分自身の運命と真っすぐ向かい合って生きている者にだけ神様から与えられる「プレゼント」なのだと私は思っています。

 

 前職を追われるきっかけとなったその出来事から、間もなく3年の月日が経とうとしています。
 私は、その人物の友人であった彼女からのメールの件を通して、あの頃の自分が何故そこまでしてその人物の人生に干渉しようとしたのかを思い出しました。
 私は、自分自身が不幸の星の下に生まれてきていると信じ切っていた、その人の人生観を変えたかったのです。
 そしてその人が、今後の人生で幸せになるためには、ただ立ち止まっているだけでなく自ら立ち上がって前に進む努力をしなければならないという事を学び生涯を全うしてもらうために、その「死」の脅威から解放させたかったのです。

 

 私は、その人物の友人であった彼女へ、メールでメッセージを送りました。

 

(返信メール原文)

 

『そうでしたか。今、疲れ切ったあなたに理屈を言っても、お心に届くはずもありませんが、自らの大切な命を絶つなんて愚かな事は絶対にいけませんよ。これが失敗に終わった幸運と、あなたの人生の持つ意味をよくお考えになって、新しい前向きな気持ちで人生を見つめ直してはどうでしょうか?私のヒーリングでよろしければお力になります。気持ちも楽になると評価いただいてる方もいらっしゃるので、アドバイスまで。もちろん、友人等からはお代なんていただきませんよ。いつでもご連絡ください。(^_^)』


 その日、私には新しい「友人」ができました。(^_^)

 





※ブログランキング参加中です。
投票(アイコンをクリック)にご協力頂ければ幸いです。(^^)