『亡き王女のためのパヴァーヌ』
(ラヴェル)
数日前、うたた寝をしていて、気が付くと体外離脱していました。
私はしばらくの間、薄暗い荒野の空を何を考える事も無く、ただ浮遊していました。
そしてふと気が付くと、私はいつの間にかどこかの海底へ移動していました。
私の身体は海藻の森の中にあり、潮の流れになびく海藻が顔に触れるほど、私はその海底の森の中深く沈んでいました。
特に恐怖は感じませんでした。しかし、普段、体外離脱した時のように意志の力で自由に移動する事が出来ず、私はその不気味で寂しい世界から、前へ進む事も後へ下がる事も出来なくなっていました。
私は天使の友人の神月さんを呼びました。彼女ならこの状況を何とかしてくれると思ったからです・・ いえ、ただ寂しくて、この孤独から自分を救って欲しかっただけなのかも知れません。
なぜなのか理由は分かりません。ただ私が彼女の名前を呼ぶと、私の意識は急に現世の肉体に引き戻されて覚醒しました。
その日の夜、私がその出来事を神月さんに話すと、彼女はこう答えてくれました。
「心身共に疲労状態にあること」
「潜在意識が現状から抜け出したがっていること」
「魂が天界へ帰りたがっていること」
そして彼女は言いました。
「私も今、同じ状態だから分かる・・」と・・