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折り畳みテーブルの旅

2019.03.17 今日の夜明けと犬


 今から約10年前、自宅マンションの燃えないゴミの収集日にゴミ出しに行った私は、そこに捨てられている他の住人が使っていたと思われる小型の折り畳みテーブルを見つけました。

 

 「これはまだ使えるのに勿体ないな。」
 そう思った私は、周囲に少し気まずい気持ちになりながらもその小さな折り畳みテーブルを自宅へ持ち帰り、きれいに整備した上で使い始めました。

 

 それから間もなく、私は職場(前職)の人事異動の関係で横須賀から大阪へ転居する事となり、必然的にそのテーブルも私の一家と共に西へ約500km離れた新天地へ移り住む事となりました。

 

 その大阪への異動は、何年後かに再び横須賀へ帰って来れるといった前提のあるものではなかったため、その時居住していた自宅は、転居日までのギリギリの間で何とか売却にまでこぎ着け、ほぼ奇跡的にローン残高と「差し引きゼロ」の状態に持って行く事ができたため、私たち一家が実質的に横須賀でやり残した事は無く、その新天地への転居は更に深い意味での「もう帰って来る前提のない旅」となりました。

 

 大阪での生活を始めてからちょうど4年後、思わぬ形で再び横須賀へ帰れる人事異動の話が浮上しました。
 それに伴い私たち一家は、当時まだ小学生だった長女を再び仲の良い友達の多い元の学校へ通わせてやりたかった事と、やはり懐かしく住み慣れた街が良いという理由で、新たな住居は取りあえず以前住んでいたマンション付近の賃貸物件から探し引っ越す事となりました。

 

 現在のマンションを購入して転居して来たのは約2年半前。
 実は何と現在住居している住居は、10年前「もう二度と帰って来る事は無いだろう」と思って売却した同じマンションの一室なです。
 それは、いくつもの偶然がたまたま重なり、特別ここへ戻って来る事にこだわってなどいなかったにも関わらず、結果的にここへ戻ってきたという、正に「奇跡」としか言いようのない転居劇でした。

 

 私たち一家と共にこのドラマのような体験の末ここへ帰って来たのは、この小さな「折り畳みテーブル」についても同じでした。
 特にこういった家具類は、引っ越しの都度、新たな居住条件に見合わない場合廃棄される事も多いので、最初の転居話から三度もの引っ越しの中で、このテーブルが(元々「拾い物」であったにも関わらず)一度も廃棄対象とならなかった事も奇跡的だったと言えるのです。

 

 私は時々、この折り畳みテーブルに話し掛けます。
「お前を捨てた元の持ち主は、お前がこんな経緯の末にここへ帰って来て、いまだに活躍してるって知ったら驚くだろうな。(^_^)」と。


 

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